2017.9.16 SAT 日比谷野外音楽堂
plenty last live 『拝啓、皆さま』
<セットリスト>
01.拝啓。皆さま
02.ボクのために吟う歌
03.空が笑ってる
04.人との距離のはかりかた
05.明日から王様
06.これから
07.砂のよう
08.先生のススメ
09.待ち合わせの途中
10.ETERNAL
11.良い朝を、いとしいひと
12.あいという
13.ドーナツの真ん中
14.風の吹く街
15.風をめざして
16.傾いた空
17.手紙
En
18.東京
19.よろこびの吟
20.空から降る一億の星
21.嘘さえもつけない距離で
22.人間そっくり
23.さよならより、優しいことば
24.枠
25.最近どうなの?
26.蒼き日々
今、radikoでcross fmを聴いている。plentyの「拝啓。皆さま」が聴こえてきた。
札幌でのライブはこの曲で始まったっけ。気になったのは音楽友だちから聴いた話がきっかけ。plentyは最初のドラマー吉岡くんが脱退した後、syrup16gの大樹ちゃんがサポートドラマーを一時期していたこと、そしてex東京事変、今は主にエレファントカシマシのサポートギタリストとしても活躍しているヒラマミキオさんもツアーなどで参加していたことがあると聞いて何となく聴いてみたいと思った所から。
youtube等で曲やライブを観たり大樹ちゃんが参加している映像を見た。今まで聴いてきたどの音楽とも違った色の楽曲。江沼くんの独特のハイトーンのボーカルとエモーショナルなメロディー。
どこまでも透明で「蒼」の文字が似合うなぁと思った。それは若い頃に感じた切なさ色でもあり、今でも本当は心の底で望み続けている清々しい美しさと優しさの色でもあった。
歌詞は詳しく追いかけてはいない。ただただ耳から入ってくる音に耳を傾けた。
ドラムに大樹ちゃん、サポートにヒラマさんを迎えたバンドは本当に江沼くんと新田くんが楽しそうで嬉しそうで、それに伴うバンドクオリティもとても高いものにも感じていた。
そんな中流れてきたplenty解散のニュース。
ラストツアー「蒼き日々」開催の発表。6月2日リキッドルームから始まり札幌は6月4日。正直ライブに行くかどうか当日まで迷っていた。仕事が終わっても「どうしようかなー」と考えた。でも。。。やはり行くことにした。当日券も出るとの事だったので大丈夫だろう。この日の札幌も小雨が降っていた。ペニーレーンに着くとまだ入場待ちの状況。当日券を購入するにはお客さんが入ってからでないと無理そう。時間を潰すのに近くのコンビニでコーヒーを買い飲んでいた。すると道路向かいの駐車場から斜め横断をする細い男子3人組がいた。黒い服を着た3人組。
それは実はplentyの3人だった(苦笑)
そんなんで初めてのplentyライブはラストツアーだった。
当然曲名も数曲しかわからなかった。でも、粛々と淡々と進んで行くライブ、黙々とただひたすら曲に没頭するお客さん。余りにも清々しい関係。
全てに心を奪われたと思う。来て良かったと思った。
そんな私が日比谷野外音楽堂のplentyラストライブに行ける事になった。
こんなニワカの私がいいのか?とも思った。沢山のファンがチケットが取れず
外に佇んでいたから。
しかし、チケットを譲ってくれた友達、私の背中を押してくれたplentyを教えてくれた友達に感謝して行くことに。
9月16日、台風の行方が全く読めずだったが朝から小雨が降っていた。
14時前、グッズ購入の為に日比谷野外音楽堂に到着。
去年の秋ぶりの野音。ここは本当にいい場所だ。
長蛇の列に驚く。並ぶこと1時間超。目当てのグッズを購入し時間まで近くのカフェで待つ。
17時半過ぎに入場完了。立ち見でも最前。スタンディングライブばかり参戦してるので全然無問題。むしろステージが良く見えて嬉しかった。
ライブは『拝啓。皆さま』から始まった。とにかく最初『拝啓、皆さま』から一太くんのドラムのなり具合がすごかった。時折走るのか一太くんの所に新田くんが時々合わせに行っていた。 段々雨が強くなる中、江沼くん以外新田くんも一太くんも一言も話すことはなかった。本編最後の『手紙』の前のMCで江沼くんは暫し言葉がでて来なかった様に思う。手紙では涙声もあったように聴こえた。最後、江沼くんが『お世話になりました。さようなら!』と叫んでからの蒼き日々。何も語らずただひたすら曲を届けて終わった彼ら、Wアンコールもなく、とてもシンプルだけど潔いラストだった。
メンバー紹介さえなかった。百千万の言葉を尽くすより歌う曲からplentyを愛する気持ちが溢れていた。Wアンコールさえもしないなんてなんという潔さ。札幌のライブでも殆どMCも無かったけれどラストさえも彼らの美学を貫き通したよ。
ラスト肩を組み合うこともなく、楽器を置いた彼ら一人ひとりがそれぞれにお客さんに手を振りステージを降りていきました。最後まで名残惜しそうにステージ上で手を振り最後にステージを降りたのは一太くんでした。
ニワカの上に立ち見でメンバーの表情までは見えなかったけれど、降りしきる雨、ビルの谷間の野音、ただひたすら黙々とplentyの音楽に耳を傾けるお客さん。前にも書いたけれどメンバーとリスナー一人ひとりが最後まで音楽で会話をしている。凄まじいまでに美しく純粋な音楽でした。
他アーのライブなら凄く盛り上がる場面やバンドが素晴らしいグルーヴを聴かせるのに、plentyはそれが少しあるだけで本当に淡々と過ぎてゆく。それはとても特異なライブのあり方でplentyとお客さんの静かな会話の時間。あのメロと歌詞をお客さんは全身で受け止めようとしてた。
こんな私でも何度も何度も彼らの曲に涙が出た。終わろうとするこのバンドはこんなにも美しく潔くて、美しすぎて潔すぎて、このバンドの良さ全てが涙雨と共に空に帰って行く。そんな気さえするライブでした。
エンディングのSEは予定曲をスタッフが差し替えたそうですね。いつもはオープニングのSEである「Hide and Seak」がエンディングに。この曲が流れてももう江沼くんも新田くんも一太くんも出てこない。
あれ以来、plentyを聴く度に泣けて来るのはなぜだろう。
plentyの事は何も知らないけれどそれでも。
今ラジオでよろこびの吟が流れている。
束の間の出会いだった。
私はきっとこのさよならの日を忘れないだろう。
お疲れ様でした。愛してます。ありがとう。